布石と収束点ーPart2ー

前回は前提として、布石の影響範囲のお話をしました。

「布石をどうやって打てば良いか分からない」 というのは、誰もが思うことかと思います。 布石をまともに教える人は少ないですし、その一部...

今回から複数回にわたり、まずは理解すべき基本のお話をいくつかしていきます。

「一緒に動く」ということ

極論を言ってしまえば、最終的に陣地が大きい方が勝ち、というのが囲碁というゲームです。

では、どのタイミングで陣地が決まっていくのでしょうか?

例えばツケノビ定石で考えてみましょう。

カカリだけの状態だとまだ黒の陣地、白の陣地が決まりそうにありません。

ですが、ここまで進むと、右下隅は白の陣地、下辺は黒の陣地になりそうです。

では、図を変えまして、単純に黒から隅を守ることを考えてみましょう。

例えばケイマに打ちます。これで隅は黒地だと言えるでしょうか?

なかなか難しいものがあります。例えば三々に打てば、最低でもコウになる形です。

またスソガカリという手段もあります(白2)。これにより黒の隅の陣地を削減することもできます。

ではもう一手かけてみましょう。これで完全に隅は黒地でしょうか?

そうとは限りません。白2のような手が来ると、後々白4という手段が発生します。こうなると隅の黒地は荒らされてしまいます。

では、この2つの違いはなんでしょう。

 

左の図だと黒地と白地が大体確定してます。一方で右の図では黒地になりそうとは言えますが、まだ未確定要素が大きいです。

少し別な図で考えてみましょう。

 

左の図だとお互いの境界線がはっきりしませんね。しかし、右の図になるとはっきり左下が白地だと言えるでしょう。

ここでもう一度さっきの比較を見直してみましょう。

 

よく見ると、左図は白石と黒石が接触しているのに対して、手段が残っていた右図は黒石のみですね。

そういえばこの図も黒石がくっついて来ると、白石が連結して白地ができてますね。

ここまで来ると、言いたいことがわかるでしょうか?

そうです。相手の石が来て自分の石が連結すると、自然に陣地になっていくのです。

期待値で陣地を見る

・・・・・・

・・・・・・

ちょっと待て待て。相手の石が来なくても、自分の石を連結させることは可能じゃないのか、と思いますよね。

でも、これどっちの陣地が大きくなりそうですか?

確かに黒地の方は荒らされないかもしれませんが、白地の方が大きくなりそうですね。

私はこのことについて述べるときに「布石では陣地を期待値で考えろ」とお話しします。

もちろん、厳密な確率を算出することはできません。相手の対応によって陣地の大きさが変わるものですから。

でも、さっきの図だと上辺、左辺、下辺、中央の全てが白地じゃなくなる、ということは考えづらいですよね。交互に打つわけですし。

つまり、この図だと黒地が50目確定だとしても、白地はそれ以上の期待値が確実に持てるわけで、この時点で明らかに白が良い(=黒の効率が悪い)と言えます。

「一緒に動く」=効率が良い

ここまで話してきた内容をまとめてみましょう。

①相手の石が来て自分の石が連結すると、自然に陣地ができる

②相手の石を考慮せずに連結させると、効率が悪い

そして、この2つのことから導き出せるのはこれです。

☆相手と一緒に動く=効率が良い☆

この話はかなりの割合でこれからのお話で出てきます。

いわゆる「モタレ攻め」が典型例ですね。

白1の打ち込みに対して直接対応しようとすると上手くいきませんが……。

黒4,6と反対側の石にモタレること=(上辺の白石と)一緒に動くことで、白1の集団に対しての攻めが成立します。

一例ですが、黒26までになると白は脱出することは叶わないでしょう。

※「攻め」に関しては、定義の問題とかを色々述べるべきことがありますが、ここでは割愛します。

最後に余談ですが…。

この「一緒に動く」ことに対して、「(実質)0手の交換」などと称したりすることがあります。どういうことかと言いますと…..。

この図の場合、黒1に対して白は他のところに打てるので、(この時点では)1手投資してこの左下隅に打っていると考えるのに対して……。

この図の場合、黒も白も同じところに打っているので、最終的に白は実質0手で左下隅に手入れをしたと言えます。逆に、黒としても実質0手で下辺への足がかりを作ったと言えるので、どちらの価値が相対的に高いのかは、周囲の状況によるところになります(=マクロ的な目線が要求されます)。

端的に「効率が良い」と表現するだけだと、どういう面で効率がよいのかが非常に分かりづらく、これが囲碁の言語化の壁の1つだと考えています。

なので、「(実質)0手の交換」という形で、黒、白それぞれが効率良く何を得たのかを明確にすることがあります。

まあ、一般的な表現ではないので、こういった文章上では可能な限り避けるべき表現だとは思いますが、便利な表現なので使ってしまうことがあるかもしれません。そのためにも以上を説明として記載しておきます。(余談ここまで)

話を戻しまして、今回覚えていただきたいことは、これだけです。

☆相手と一緒に動く=効率が良い☆

これからこれが大原則となるので、きっちり把握して前に進みましょう。