2017年6月27日、将棋界の出来事が新聞の一面を飾りました。

14歳のプロ棋士、藤井聡太四段が公式戦負けなしの29連勝を果たした、というものです。

世間は「藤井フィーバー」と称される一大旋風が巻き起こっています。

 

その中で、藤井四段を育てたおもちゃ「キュボロ」にも注目が集まりました。

彼の人気に伴い、2017年6月末現在、予約しても来年の3月以降になるとのことです(←汗)

 

 

このほかにも、藤井四段の持ち物将棋連盟で販売された棋士のグッズが完売する、といった「藤井効果」が出ているようです。(※青字はリンクになっていて該当記事に飛びます)

 

 

さて、ここで着目していきたいのが、こうした流れの中にあるお子さんを「藤井くんみたいに頭のよい子を育てたい」という親御さんの思いです。

果たして藤井四段と同様の成長が、あなたのお子さんに可能なのでしょうか?

あれほどの奇跡を「不可能」と決めつけるのは安易なことではありますが、ここは前向きにいくつかの「要素」に分けて一つ一つ見ていきましょう。

 

 

①使っているもの

 

先ほど挙げたキュボロしかり、記事で取り上げられていたリュックサックしかりなのですが、

それなりに値段が張った品質の良いものを使ってます。

Karrimor社のサイトを見れば判りますが、用途まできっちり意識させる良いブランドですね。

 

 

 

これは著者の持論ですが、上手に物を使う方法として、大きく二つあると思います。

一つは出費を最小限におさえ、使い方や組み合わせで工夫する方法

もう一つは相応のお金をかけてしっかりしたものを使いこなす方法です。

 

これは使えるようになる過程が大事で、ポケモンなどに代表される育成系のゲームでイメージするのがわかりやすいでしょうか。

前者は強敵をバンバン倒して経験値を取得する方法、後者はレベルに応じた適度な敵を倒して経験値を積む方法です。

 

前者は強敵なので、倒せれば経験値がたくさん得られ短時間で成長できますが、倒すのにコツが要ります。

後者はレベル相応の敵なので、倒すのは難儀ではありませんが、経験値も相応なので、成長には時間がかかります。

 

前者が出来るようになるには相応の経験が必要になりますが、慣れると低コストかつ有用です。

後者は時間を費やしてでも、自分の身に合った経験を積む方法として有用かと思います。

 

 

その上で、物を上手に使うことができるようになるには、やはり「考える力」が重要です。

ゲームのようにたくさん経験値を積む=使っている期間が長いほど上手く使えるようになる、と云ったような単純な構造ではありません。

 

 

藤井四段の場合、後者なので、後者のパターンで例を挙げるとしましょう。

例えば、リュックサック一つにしても、なぜ外側にポケットがついているのか、どんな用途を想定してこれを作ったのだろうか、といった疑問に答えられる、というのが一つの目安ですかね。

ペットボトル飲料を入れることを想定して作られた外ポケットとか、持ち運び用のPCを想定して作られたクッション付き内ポケットとか、そういうものが理解できることが、上手に使いこなす第一歩です。

その上で、ここはこういう工夫をして使えるのではないか、といった自分に合った用途の拡張ができるようになると、作った人も喜ばしい限りでしょう。

 

 

 

②普段の環境

 

藤井四段は入段前の小学生の時点で、詰将棋解答選手権で優勝する実力の持ち主です(現在3年連続優勝)。

世間に公表されている様々な記事からも、相当量の将棋・詰将棋をやりこんだことがうかがえます。

詰将棋といえども端的にいえばパズルゲームですし、将棋だって平たく云えばボードゲームの一種です。

つまり、たくさん好きなゲームをやらせた、ということです。

 

 

そういう藤井少年に対し、不要な邪魔をしなかった、というのはぜひ世の中の親御さんに学んで欲しい姿勢の一つです。

「よく学び、よく遊べ」とよく言われますが、彼に対し「よく遊ばせた」親の功績は非常に大きいでしょう。

 

先ほど挙げた、「ものを上手に使う」観点でも、この「よく遊ばせる」観点は大切です。

子供が興味を持ったもの、新しく買ったものでも家にあるものでもなんでも構いませんが、

興味を持ったものに対し、それに触れるための余裕ある時間をもうけること

これがものすごく大事なことです。

筆者もPCの利用に精通しているとよく職場で言われますが(注:専門家ではありません)、幼い頃から既製品のPCに自由に触れさせてくれた親の寛容さがその背景にあると思います。

 

 

もちろん危険なことに手を出しそうなときには、親御さんがストッパーとして働くべきですが……

子供に興味のままに自由に触れさせること、この重要性を改めて認識するところではないでしょうか。

 

 

今回、キュボロや詰将棋といった世間的にもマイナスイメージの少ないものが取り上げられていますが、マンガやスマホのゲームでも構わないんですよ。

ただ、(最終的に)そこから何を読み取るのか、習得するのか、という観点が大事です。

例えばマンガならば、このキャラクターが好き、ってなったとき、自分はそのキャラクターのどういうところが好きなのか?とか、

このキャラクターはなぜこの場面でこういう行動をとったのか?テンプレ的展開がなぜ好まれるのか?とか(目的外の)やや高度な観点が要求されます。

 

これは、ある程度子供が成長するための時間を考慮する必要がある側面です。

マンガの最初のきっかけはやっぱり面白そう、読んでいて楽しい、から始まります。

そこから色んなマンガを読んでいるうちに、(成人してからであっても)上述の例に挙げたような観点に至ればそこに意味はあると言えるでしょう。

 

世の親御さんはこの期間「見守る」ことができるでしょうか?

 

藤井四段の親御さんは(おそらく)これができるからこそ、藤井四段は(たまたま中学生の時点で開花し)素晴らしい活躍をしているのでしょう。

 

 

 

③藤井四段個人の学習スタイル(現在)

 

藤井四段は、コンピュータソフト(将棋AI)を用いて将棋を勉強しています。コンピュータ将棋に精通している千田六段に勧められ、使い始めたそうです。

近頃は将棋だけではなく、囲碁もAIに敗れ、それを活用する路線に行くのが主流になりつつあります。

下に示した記事は、それを将棋の視点から一般向けに書かれたものです。

コンピューターが人間を超えた世界はどうなる? プロ棋士・遠山雄亮五段に聞く、AIとの付き合い方

 

ここで着目したいのは、記事の中のこの文章です。

 

 

たとえば、史上最年少でプロ棋士になり、最多連勝記録を塗り替えた藤井聡太四段が世間の注目を集めていますが、彼を見た親御さんが、自分の子どもに将棋を始めさせるとします。その際、ご両親が将棋に強くないとしても、コンピューター将棋を使って高いレベルで学ばせることができるようになれば、将棋ファンがより多くなるのではないでしょうか。

 

 

コンピュータを使って、高いレベルで学ばせることができる……。果たして本当でしょうか?

 

ここには二つの論点があります。

一つは、強い人≠教えるのが上手い、ではないという点です。

強い人ほど内容が高度になりがちです。

自分の言葉のランクをいかに相手の土壌に合わせられるか、教える上での基礎になります。

教わる側としても、訳の分からない専門用語を羅列されても理解できませんし、混乱してしまい困ってしまいます。

逆に、教えるのが上手い人が強いか、と言われるとそうとは限りません。

経験ゆえの共感が強く、間違った内容を教わることも少なくありません。

1番強い人から2番目に強い人に、2番目の人から3番目の人に……と伝言ゲームをしていれば、どこかで内容が微妙に食い違い、最終的に自分に来る頃には、よく分からない内容になっていることは珍しいことではありません。

AIに教わる、という観点では、現時点では前者の「強者ゆえに教わる」側面が強いため、正確な内容であっても、高度すぎる可能性は否めません。

小学生が大学での講義内容を教えてもらっても、ちんぷんかんぷんなのと一緒です。

 

もう一つは、高レベルの内容を咀嚼できるか、という点です。

囲碁AIでも将棋AIでも共通のことですが、手の意味を説明するのは今なお「人間のお仕事」です。AIが事細かに説明してくれることはありません。

つまり、AIがどんなに凄い手を打ったとしても、それを納得して会得できるかは、本人の能力次第だと言えるわけです。

自己解決するだけの能力がなくては、結局は宝の持ち腐れになりかねません。

 

藤井四段の場合、将棋AIに本格的に触れたのがプロ目前の時期(三段リーグの頃)というのが、非常に理に適った時期だったと思います。

プロ目前ならば、基礎的なところに加えて自分のスタイルができあがっており、あとは複数の答えが生まれるときや答えが出てこないときに、将棋AIの示す手を指標として、自分で考えることができるでしょう。

これより前の時期だと、将棋AIに影響されて自分の将棋を見失うことになったり、上手く取り入れられずに馬の耳に念仏だったりしたでしょう。

 

 

 

結語

色々触れてきましたが、ポイントをまとめると以下のような感じです。

 

①子供が興味を持った物事に対し、介入せず見守ること。必要あれば手助けすること。

②子供が主体的に考える習慣・時間を身につける環境を提供すること。

 

まとめると、非常に当たり前のことになってしまいますね(苦笑)

でも、昨今は勉強第一になってしまい、こんな当たり前のことができない状況も珍しくありません。

もしこの藤井フィーバーになにか思うところがあれば、一考してみてはいかがでしょうか?(了)