独学する上で、必須となるのが棋書(囲碁の本)です。
とはいえ、どのように棋書を扱えば良いのか分からない人も数多くいるでしょうから、今回はその話をきっちり書きます。

囲碁の本に触れる前提として

棋書に触れる上で、重要なのは、「目的(マクロ)」と「学習段階(ミクロ)」との対応です。

その本を読むことで何を習得したいのか、どういうことをできるようになりたいのか。
いかに頑張ったとしても、それが(長期的に)役に立たないようでは意味がありません。

そして、その目的が学習段階に対応している必要があります。
学習段階を今回、以下のように定義します。

インプット→整理→アウトプット

いかに問題演習によりアウトプットをしたとしても、(自分の頭の中で)整理できていなければ、実戦に応用することは難しいです。

一方で、いかにインプットして整理したとしても、アウトプット(実戦)に反映することができなければ使えないも同然ですから、意味がありません。

以上のことを踏まえて、ここからの話を読んでいただきたく思います。

 

棋書(囲碁の本)のしくみと使い方

棋書と一言で言っても、様々な本があります。大別すると、以下の3つのタイプに分けられます。(←明確に分類しづらい本もありますが、あえて分けるとするならば)

・解説型(テーマ図型) ……テーマ図を軸に解説していくタイプ
・問題型 ……問題を解いていくタイプ。解説は簡単に数行程度)
・その他 ……打碁集、読み物など

今回は、解説型(テーマ図型)・問題型について主に触れていきます。

解説型(テーマ図型)は、基本的に解説がメインです。

つまり、学習段階としてはインプットや整理の段階に適しているシロモノです。

 

一方、問題型は、一冊におおよそ100問以上載っていて、各問題に対して簡単な解説が書いてあります。これは、学習段階としてはアウトプットの段階に用いるべきものです。

 

棋書を読む上で、1つ考えないといけないのが、「問題」の対処法です。

 

テーマ図型でも問題型でも必ず「問題」が出題されています。

時間をかけて問題を解く、というのも一法ですが、問題図型は相当量の問題があるため、「数をこなす」という観点では、時間がかかりすぎてマイナスです。

テーマ図型であっても、解説を理解することに比重を置くべきで、論理を繋げるのに材料が足りないのなら、すぐにでも解説を読むべきです。

 

私たちは問題への対処として「勘で一手目だけ当てる」という手法をお勧めします。

次の一手に対する「第一感」が「正解手」であることが大切であり、それ以降の変化を読むにしても、頭の中の候補にない一手を考えることは不可能です(特に実戦では)。

そのためには、急所(ポイント)の一手はどこなのか、を知る必要があります。

 

棋書(囲碁の本)の選び方

棋書を選ぶ上で、見極めるべきポイントは、次の3つです。

・見やすさ(読みやすさ)
・内容(目的に合った内容かどうか)
・肌に合うか

見やすさは、出版社ごとに違います。

 

1頁に2つ~3つの図を載せるのが最近の主流で、この点は共通しているものが多いです。

一方、文字のフォント、図の大きさ、配置などは各出版社で少しずつ違います。

 

私は、NHK出版やマイナビ(元マイコミ)、東京創元社の本が見やすい、と感じています。ちなみに、主流に則っていない本を一例挙げると、『依田ノート』(講談社)です。

『依田ノート』は、内容は申し分ないのですが、図がページを跨いでいることがあるのが難点です(つまり、それさえクリアできれば、問題ないとも言えます)。

 

最も気をつけないといけないのは、内容です。

大体序文のところに、筆者が何を意図して本を作製したのか、が記載してあります。

それを以て自分の求めているものに見合っているのか、そして中身をぱらぱら見て、自分がついていける内容なのか、その点を確認する必要があります。

 

最終的に、自分の肌に合うか、が必要になります。

いわゆる感性的な問題と言っても良いかもしれません。

もし「なんとなく、気に入らない」という思いがあるなら、手を引いた方が良いでしょう。

 

そんな本を手にしたとところで、身にならずに終わるパターンが予想されます。

もし本を読んでいて上手くいかないなら、以上の3点のいずれかに問題がある可能性が高いです。

 

初心者から高段者までオススメの棋書(囲碁の本)

棋書といえど様々なものがありますが、どの段階でどういうものに触れるのか、というのが大切ですので、今回はその指標で段階分けしました。

 

ただし、棋書の量が半端ない量(←これでも抑えてます)になりますので、全部の本を読もうと努力なさると、気が狂う方が出てきてしまいそうですね(苦笑)。

先に述べた通り、自分に何が必要で、どんな本を読みたいのか、どんな内容を習得したいのか、ということを前提に置いた上で、自分の目的に合った本を下記より見繕い、実際に肌に合うかどうかを確かめて、購入するかどうかを決めるのが良いと思います。

 

なお今回は、出版元において絶版となっている棋書を省いております。

ただし、電子版もしくは書籍版の一方で残っているものについては、絶版に該当していないものとしております。

 

今回、紙の本およびKindle形式(電子書籍)がメジャーなのでAmazonでの紹介としておりますが、マイナビさんの本はPDF形式(電子書籍)の棋書の販売もあるので、PDF形式が好みの方はそちらを参照するとよいでしょう(電子媒体の本の話についてはまた今度詳しく触れる予定です)。

また分類として、〈Standard〉と〈Appendix〉という分類をしました。

〈Standard〉は各段階において基本として定めた棋書です。
内容をおさえた上で次の段階に進むことを勧めます。
〈Appendix〉はさらに内容をこなしたい人向けの本であり、基本として記載した本では足りない場合にご活用ください。

 

【ルールが分かった人】

まずは、石取りや地取りに慣れた上で、手筋に慣れることが必要になります。

そのため、理論より実践的に、アタマよりカラダに定着させることが重要となります。

なお、囲碁入門分野のエキスパートである政光順二氏の作成した下記動画の内容をおさえたレベルを「ルールが分かった人」として、扱っております。

 

囲碁の終局(終わり方)がよくわかる GO ARK で囲碁入門

 

〈Standard〉

まず最初の王道はこの3冊です。
いずれもアウトプットを意識した問題集です。最初に簡単な解説もついています。

『ひと目の手筋』
『ひと目の詰碁』
『ひと目のヨセ』

「ひと目」シリーズは、反復演習が基本です。せっかくなので、『ひと目の急所』のまえがきを引用させてもらいます。

囲碁が強くなるためには、正しい形を体で覚えることが重要です。問題を見た瞬間に正解を発見できるようになれば、実戦で似た形が出てきたときに対応出来るようになります。「ひと目」シリーズは、できれば20回、最低でも5回は解いてください。そうすれば囲碁の基本的な考え方が身につくでしょう。(後略)

引用:『ひと目の急所』

 

〈Appendix〉

その上で、理論的に内容をおさえるならば、以下の棋書をオススメします。

『石の形 集中講義 完全版』(三村智保 著)

ただ、本書は次の段階でも構いません。

 

【19路に入る直前】

〈Standard〉

この段階で身につけるべきは、「石の形」です。要するに「部分効率」がある程度できる必要があります。完璧である必要はありませんが、「サカレ形」「アキ三角」「ポン抜き」程度が理解できていると良いでしょう。

『石の形 集中講義 完全版』(三村智保 著)

 

【19路初心者~中級者】

19路初めての人がまず読むと良いものを記載します。おおざっぱにおさえる本が中心となっています。そのため、ここで記載してある解説型の棋書を全て読み終えずとも、次の段階に手を出しても大丈夫かと思います。

〈Standard〉

まずおおざっぱに19路の概要をおさえてください。

『わかる! 勝てる!! 囲碁 序盤の打ち方』(羽根直樹 著)
『わかる! 勝てる!! 囲碁 攻めの基本』(羽根直樹 著)
『わかる! 勝てる!! 囲碁 守りの基本』(羽根直樹 著)
『わかる! 勝てる!! 囲碁 死活とヨセ』(羽根直樹 著)
『わかる! 勝てる!! 囲碁 手筋と攻め合い』(羽根直樹 著)
『わかる! 勝てる!! 囲碁 打ち込みの基本』(羽根直樹 著)
『わかる! 勝てる!! 囲碁 本手とウソ手の見分け方』(羽根直樹 著)

19路初心者が読む本としては、羽根先生の「わかる! 勝てる!! 囲碁」シリーズがオススメです。

初心者指導だと石倉先生が有名ですが(著書はAppendixに記載)、羽根先生の本は、これから読む棋書において説明が省略されているけど、おさえておかないといけない大切な内容が書かれており、その点で特に有用です。

例えば死活の話や2種類の打ち込みについてはその典型例で、(信じがたいことに)理解していない有段者もいるくらいです。

その上で、形の基本の確認をしてください。この段階で「サカレ形」「アキ三角」「ポン抜き」がきっちり意識出来れば上々でしょう。

『石の形 集中講義 完全版』(三村智保 著)

 

 

問題演習(アウトプット)としては、以下の「ひと目」シリーズをきっちりこなせるレベルが望ましいです(前述のものと重複あり)。

『ひと目の手筋』(趙治勲 著)
『ひと目の詰碁』(趙治勲 著)
『ひと目のヨセ』(趙治勲 著)
『ひと目のコウ』(趙治勲 著)
『ひと目の手筋 レベルアップ編』(趙治勲 著)
『ひと目の詰碁 レベルアップ編』(趙治勲 著)
『ひと目の急所』(二十五世本因坊治勲 著)
『ひと目の攻めと守り』(趙治勲 著)
『ひと目の攻め合い』(趙治勲 著)

ここまでの内容をこなせるならば、一桁級後半は楽に行けるでしょう。

なお、全ての本の演習をやりきる必要はありません。次の段階が【19路初心者卒業~】となっているように、途中から後述の本も併用していくことになるかと思います。

ただし(最後のまとめに記載されていますが)解説型の棋書が一気に増えるため、演習不足で躓いたときにはこの「ひと目」シリーズが有用となることもあるでしょう。

 

〈Appendix〉

19路の概要をおさえるのに、石倉先生の本が良い人は以下をオススメします。
ただ、羽根先生の本と石倉先生の本、両方は必要ありません。

『石倉昇のこれでOK初級突破法 基礎編』(石倉昇 著)
『石倉昇のこれでOK初級突破法 応用編』(石倉昇 著)

この段階で形関連でつまずく場合は、理論書と問題集を兼ねている本書を勧めます。

『筋と形が良くなるトレーニング200』(蘇耀国 著)

また、後でもう一度この本は出てきますが、この段階までの確認として『爽快!勝ち筋さがし』を使うのも良いでしょう。

本書の特徴として、幅広い方に利用してもらうために、「使い方」が序章に記載されてます。

上述の棋書をこなしきった時点(それより前の時点でも可能かもしれませんが)で「一桁級.初段位の方へ」くらいのことができればbetterです。

『爽快!勝ち筋さがし』(大橋拓文 著)

 

【19路初心者卒業~】

ここからが棋書の本番です。
アタマ<カラダであった比重が、どんどんアタマ>カラダとなっていく段階です(分野によって異なりますが)。

前の段階の途中からこちらの棋書にも触れても良いでしょう。

分野ごとに色んな棋書があるため、分野ごとの紹介とします。

〔総論〕

総論では、細かい技術よりも全体に関わる考え方の本をピックアップしてます。

細かい技術があろうと、それを生かす考え方が身に付いていなくては、適切に使用することはできません。

言うまでもなく、解説型の棋書がほとんどです。

 

〈Standard〉

 

まず最初に知るべきは石の強弱であり、これが布石の基礎となります。

石の強弱は、石の効率の昇降に関わる重要な要素であり、これを的確に認知することが、後に出てくる内容を理解する上での基礎となります。

『横田茂昭のこの厚みは星なんぼ?』(横田茂昭 著)

 

 

《総論(基本編)》

石の強弱を理解した上で、基本的な布石の考え方を理解することが大切です。

模範的な内容をおさえることで、正しい石の流れを把握しましょう。

なお、一番最後の『苑田流 格言のすべて』は、『囲碁観が180°変わる苑田流格言』と『苑田流格言実戦講義』の2冊の合冊され文庫化されたものです。

『苑田勇一流 基本戦略』(苑田勇一 著)
『横田茂昭の白番は楽しい!』(横田茂昭 著)
『効率良く地を囲う4つの基本』(金秀俊 著)
『世界一厚い碁の考え方』(今村俊也 著)
『苑田流 格言のすべて』(苑田勇一 著)

 

 

《総論(模様編)》

小路盤で存在せず、19路盤で存在する概念として「模様」があります。

自分が模様を作る場合、相手が模様を作る場合、その両方に対応できる必要があります。

前者が模様の使い方、後者が模様への対応方法の棋書です。

『勝てる模様の使い方』(金秀俊 著)
『大模様が恐くなくなる本』(林海峰 著)

 

 

《総論(部分編)》

石を効果的に捨てること。これができると、効率(特に部分効率)を理解していると言えるでしょう。

『捨て石 集中講義』(三村智保 著)
『利かし、利き筋 集中講義』(小林覚 著)

 

 

 

〈Appendix〉

総合的な内容を記載した本として、『依田ノート』が上げられます。しかし、物理的な読みづらさ、難易度の高さを含んでいる側面があります。

それゆえにあまり強くは勧めませんが、間違いなく良書ではあるので紹介しておきます。

興味があるのなら、棋書にある程度慣れた後に、一読しても良いでしょう。

『依田ノート』(依田紀基 著)


総論の基礎となる石の強弱関連の本は、他にも存在します。

石の強弱について明確に定義している点で前述の『横田茂昭のこの厚みは星なんぼ?』をStandardに記載しましたが、前述の本との相性が悪い、より感覚を鍛えるために別な視点の棋書を読みたい、などと思うのなら、以下の棋書をオススメします。

『30秒でわかる!攻めと守りの判断法』(溝上知親 著)
『やさしく語る 碁の本質』(白石勇一 著)

序盤の論理に関して改めて振り返るならば、以下の本が良いでしょう。根本的な要素をピンポイントでついているものの、断片的に記述されているので、上述の内容を理解してもつまずいたときに読んでみるのが良いかと思います。

『有段者のための囲碁学』(金萬樹 著)

 

 

〔定石〕

定石の分野は、流行関連の本(←紹介する意味がないので紹介しません)が多く、基本に関する本かつ充実した内容のものは非常に少ないです。(だからこそ、本サークルはここに着手しております。)
※本来は、Standard系統の本がもう一冊欲しいところなのですが、セットのうちの一方が絶版になっているので、掲載しません。

 

〈Standard〉

定石で大切なのは、「特徴」を把握することです。

どういう意味合いでその着手をしているのか、結果的にどういう形になり、それがどういう影響を全局(全体)に及ぼすのか……などなど。

その最低限を上手くまとめたのが、下述のレドモンド先生の著書です。

定石を学ぶならば、まず最初に本書でどこまでの内容が(最低限)必要なのか、というところをおさえるのが良いでしょう。

言うまでもないことですが、定石を丸暗記なんて意味がありません。英単語を丸暗記しても使えないのと同じことです。

『基本定石の正しい使い方 星編』(マイケル レドモンド 著)
『基本定石の正しい使い方 小目編』(マイケル レドモンド 著)

 

〈Appendix〉

Appendixは事典です。

事典は読み物とは言いがたく、量が非常に多いです。

しかし、それでも定石書として全ての変化を網羅していません(変化の激しい分野であり、網羅することは物理的に不可能です)。

別の書籍に載っていても、本書に載っていない、とかその逆もあります。

評価(良いor 悪いなど)も著者により異なるため、評価を鵜呑みにすべきではありません。

それを踏まえた上で、定石書と向き合うべきでしょう。一般的な用途としては、必要なときに必要なところだけ読む、といった形が自然かと思います。

『新版 基本定石事典 上巻』(高尾紳路 著)
『新版 基本定石事典 下巻』(高尾紳路 著)

 

 

〔布石・戦術〕

布石・戦術の類も定石同様、変化が激しい分野です。

そのため、戦術本に関しては数年毎に1冊出ている、と言っても過言ではありません。

本分野については細かい内容の本に興味のあるのなら突き進んでいただいて、ざっくばらんな内容でありながら、エッセンスを捉えた本として、下記の二冊を挙げます。
Appendixはあまりにもたくさん出せてしまうので、割愛しますね(苦笑)。
戦術本は、ある程度基礎ができるようになってから読んだ方が良いです。

戦術本を読むことは悪いことではありませんが、読み過ぎるとその評価を鵜呑みにし、戦術本に記載してあるコースから外れたときに対応出来ない状態になり得ます。

戦術本に書いてある内容も定石同様、時代によって変化するものなので、数年経てば違う評価になることもしばしばあります。なので、なぜその評価になるのか、を(論理的に)「考える」努力が必要です。

〈Standard〉

『布石の打ち方が変わる』(瀬戸大樹 著)
『戦わずして勝つ方法』(羽根直樹 著)

 

 

〔中盤・手筋〕

中盤は、マクロ的な「方針」部分とそれを支えるミクロ的な「手筋(手段)」部分が存在します。

前者のマクロ的な「方針」部分は、前述の総論の棋書(特に基礎に記載した石の強弱関連の内容)を参考にしてください。ここではミクロ的な「手筋(手段)」の棋書を中心に掲載します。

 

〈Standard〉

相手の石数が多いところでの戦いにおける重要な手法として、サバキがあります。サバキは概念をおさえることも大切ですが、身につける上で比重が高いのがパターン認識です。

解説型の棋書を読み、パターンを知り、それを実戦に応用していくことになります。

そのサイクルの中で本に載っている手の成立条件(どういうときにそのパターンを活用すれば良いのか)を把握していくことになるでしょう。

前者と後者で比較すると、難易度的には前者の方が易しい内容となっています。しかし、内容としては後者くらいまでおさえておくことがbetterだと言えます。

『サバキの急所』(王立誠 著)
『攻めとサバキの攻防』(小林覚 著)

 

 

実際、実戦では手になる場所、どのような手になるのか、その基本が身に付いている必要があります。手を入れて守るにしてもどのような手になるから守る、と認識する必要があります。この2つの棋書はその基本と言えるものです。

『序盤の手筋』(河野臨 著)
『シマリの急所 小目編』(溝上知親 著)

 

 

石の形の続きの話として、この本を勧めます。

ぱっと見で正しい筋のところに石が行く必要があります。

何気なく打っている手が効率が悪いことがあります。それを是正する問題集として、本書がオススメです。

『ひと目でわかる「本筋・俗筋」対照表』(月刊碁学 編)

 

 

部分的な手筋、つまり手を見つけて考えることも必要となります。

これは問題型の棋書で鍛えるのが手っ取り早いでしょう。前者は、すでに出した本ですが、様々な棋力に対応した使い方が記載された素晴らしい棋書です。
後者は、昔出版された棋書の合冊版で、濃い内容ながらもコンパクトな手筋の本です。

『爽快!勝ち筋さがし』(大橋拓文 著)
『死活と手筋の急所』(林海峰 著)

 

〈Appendix〉

上述の棋書で足りない場合の棋書として、以下の棋書をオススメします。

『10目得する「やわらかい」攻め方』(金秀俊 著)
『ツケ、ハネ、ノビ』(中小野田智己 著)
『新版 基本手筋事典』(山下敬吾 著)

 

 

〔基本死活〕

死活として重要なのが「基本死活」と言われるものです。

基本形に対し、それが手入れせずとも生きているのか、手入れすれば生きるのか、それとも手入れしたところで二眼作れないのか、などなどの結果が大切になります。

この事実が思考の基礎となります。
つまり、これもパターン認識の比重が高いものだと言えます。

本分野の本は基本的に内容が重複するのでどちらか一冊あれば十分です。

前者は前の手筋のところで紹介した本です。
後者は依田先生流の把握方法が提示されています。

基本死活の把握方法は人それぞれかと思います。
例えば本項執筆担当の場合は、「閉じた六目(いわゆるクシ六の形)」を基準に考えることが多いです(→この話はいずれまたどこかでします)。もっと基本死活をたくさんやりたい、というマゾヒストな方はAppendixの事典をこなすのがよいでしょう。

 

〈Standard〉

『死活と手筋の急所』(林海峰 著)
『依田式 基本死活の考え方』(依田紀基 著)

 

〈Appendix〉

『新版 基本死活事典』(張栩 著)

※『基本死活 虎の巻』(日本棋院)という本もありますが、あれは問題形式の側面が強すぎて、基本死活の内容を「整理」することに不向きであるため、本項執筆担当としてはオススメしません。

※なお、世の中には基本死活の本なんかよりも詰碁の本の方がたくさんあります。
しかし、詰碁の主目的は「ヨミを鍛える」というものですが、そういうやり方を本サイトのような内容を求める人がやるべきだとは考えておりません。

そういう鍛え方によって効果があるのは子供だけですし、大人でありながらそういう行為を能動的かつ好意的にやることができるのはほんのわずかです。

そのため、勧める必要性がないと言えるので、割愛します。最低限のものは、前述してありますからね(にっこり)。

 

〔ヨセ〕

ヨセも基本死活同様、パターン認識のような処理が良いでしょう。

ヨセを大別すると、大ヨセと小ヨセがあります。

大ヨセについては『「大ヨセ」集中講義』くらいしか人に勧められる内容の本がありません。

大ヨセの定義、解説、問題の三拍子でできた良書です。小ヨセは問題型でサクサク解いて、ヨセのパターンを知るのが第一歩です。

牛窪先生がこの分野では数多くの本を出版しており、ここでは(紙書籍も電子書籍もある)『やさしいヨセ』を選択しておりますが、牛窪先生の他の本でも大きく内容が異なることはありません。

 

〈Standard〉

『「大ヨセ」集中講義』(片岡聡 著)
『10目得するヨセのテクニック』(山田規三生 著)
『やさしいヨセ サルスベリから目数計算まで』(牛窪義高 著)

 

ヨセには計算方法があります。
相対計算として先手○目や後手○目というのが存在し、一般的に用いられる言葉としてはこれが多いです。

一方、絶対計算という計算手法もあります。

そういった計算手法を学ぶ上で、以下の本を紹介します。

ただ、実戦の上で使用するかどうか、と言われると、人によって異なる際どいところであり、そういう点ではあくまでもAppendixレベルだと言えるでしょう。
例えば、本項執筆担当はこういったヨセの計算は一応できますが実戦ではほとんど使用していません。

 

〈Appendix〉

『ヨセ・絶対計算 完全版』(王銘琬 著)

 

 

 

考察とまとめ

ここまでの棋書紹介を見てみると、全体として初心者の方が問題型の棋書の比率が高くレベル(棋力)が上がるにつれて解説型(テーマ図型)の棋書の比率が徐々に上がっていったかと思います。

ここから囲碁の成長段階を考えてみると、最初はカラダで学習し、徐々にアタマで学習するようにスイッチしていく…..このパターンが上手く行くパターンである、という仮説を立てることができます。
つまり、カラダでの学習とアタマでの学習の両方が必要とされるわけです。

例えばカラダ中心の学習が主体でアタマ中心の学習に不慣れな人の場合、最初は順調に行ったけど、途中から滞ってしまい、上手く行かなくなっていくパターンが想定されます。
またこの逆パターン、アタマ中心の学習が主体でカラダ中心の学習に不慣れな人の場合、最初の石取りや地取りの頃に躓く展開になるパターン。

ルールは覚えたけど、その直後から上手く行かない、19路盤に入れる感じがしないといった状態に陥りがちになるパターンが想定されるわけです。

こういった偏りのある学習方法がスタイルの方は、もう一方の学習方法を確立することが必要になるでしょう。アタマだけ、カラダだけでは上手く行かないことを肝に銘じましょう。

本の選び方については、先に述べた通り、自分に何が必要で、どんな本を読みたいのか、ということを前提に置いた上で、自分の目的に合った本を上記より見繕い、実際に肌に合うかどうかを確かめて、購入するかどうかを決めるのが良いと思います。
図書館で借りて読んでみて、気に入ったら手元に置いておくために買う、というのもあるでしょう。以上の話を踏まえて、棋書(囲碁の本)とのつきあい方、改めて考えてみてください。

ちなみに、うちの代表は(昔は)本の虫だそうで、ここにある棋書を全部持っていて読了済みらしいです。怖いですね(苦笑)。